太陽光発電所売却の方法!気になる流れや手続き・税金面も解説

近年、太陽光発電所の売却依頼が増えています。『太陽光発電所を売りたい』、『所有している発電所の売却の流れが知りたい』、そのようなときに気になるのが、売却方法や大まかな流れではないでしょうか。また相場や手続きや税金なども関わってくるため、タイミングがとても重要です。売却を考えている方、太陽光発電所を所有している方も参考にしてください。

なぜ今太陽光発電所が売り時なのか

太陽光発電

太陽光発電所が売り時といわれる大きな要因は、11年目のパワコン交換費用、大規模出力抑制(2023年に実施)、廃棄費用積立制度(2024年4月から実施)の3つです。2012年からスタートした産業用太陽光発電は、これから11年目を迎える発電所が多くなることが予想されます。10年目にパワコン保証が切れるため、故障や保険の新規加入、再申込みをはじめとする設備維持にかかるコストが増える時期です。その前に、「太陽光発電所を売却したい」と考えるオーナーもいるでしょう。太陽光発電所が売り時といわれる2つめの要因は、2023年に大規模な出力抑制が実施されたことです。2022年は抑制実績が5.7億kWhに対し、2023年は17.6億kWhとなり前年度比の約3倍となっています。2024年度の出力制御はまだ発表されていませんが、増える可能性が高くなることが予想されます。

3つめは、2024年4月に始まる廃棄費用積立制度により、売買収入の一部が廃棄費用の積み立てに回ることです。FIT価格によって積立額は異なりますが、受け取れる売電収入が減少します。これらの理由から売却を検討する方も多くなると予想されますが、投資案件として太陽光発電はまだまだ人気が高い傾向にあります。半導体不足や円安為替による部品や、燃料の価格高騰により、建築コストは上昇中です。新設より中古物件の人気が高い現状からセカンダリー市場の加速が進んでいることから、今後さらに需要が高まると考えられます。売却を考えられている方、気になる方は気軽に査定だけでも依頼してみましょう。査定額を見てから検討しても問題ありません。

太陽光発電所売却の方法と流れ

太陽光発電所を売却する方法は個人取引、仲介会社に売却、買取会社に買取依頼の3つがあります。どの方法を選択するかによって売却の流れが変わるため、以下で詳しく解説します。【個人取引】太陽光発電所は直接取引も可能です。ただし複雑な取引や手続き(所有権・FIT関連の書類、契約)が多く、トラブルにつながる可能性も考えられます。そのため、特別な理由がない限りは下記の2つの方法をおすすめします。流れは、1.売却希望金額を決める、2.買い手を探す、3.条件を交渉し、合意後契約を結ぶ、4.売却手続き(土地の所有権の移動、太陽光発電設備の所有権の移動、遠隔監視および保守管理関連、FIT制度による発電所の譲渡関連、売電の権利の移動)、5.買い手から売却額が支払われる、進めます。

【仲介会社に売却】買い手を探して手続きや書類の準備・交渉などを代行してくれます。売り手の手間や労力も少なく、取引におけるトラブルを避けられるメリットがあります。手数料や売却にかかる時間がデメリットにあげられますが、市場の適正価格で売却しやすいのが特徴です。契約内容によって流れや決済方法が違う場合もあるため、契約書は隅々までチェックしましょう。売却流れは、1.売却依頼(簡易査定)の依頼、2.査定額を聞き検討、3.仲介会社と契約を締結、4.現地調査後、正式な売却額を算出、5.仲介会社が新たな買い手と交渉し合意後、売買契約を結ぶ、6.買い手から売却額が支払われる、で進めます。【買取会社に買取依頼】買取会社は売却から買取までがスムーズかつ、決済までのスピードが比較的短いのがメリットです。ただし、中には買値を叩かれて損してしまう場合もあります。特に即日買取の業者には注意し、いくつかの会社で比較するのがいいでしょう。買取の流れは、1.売却依頼(簡易査定)の依頼、2.査定額を聞き検討、3.現地調査後、正式な売却額を算出、4.価格に合意した場合、売買契約を結ぶ、5.買い手から売却額が支払われる、で進めます。

太陽光発電所の売却におけるポイント

どの方法を選択しても、なるべく安心安全に売却したいと思うはずです。そこで売却におけるポイントをいくつか紹介しているため、参考にしてください。【査定額を高くするには?】主に売電実績が査定に影響します。売電実績が低いと査定金額も下がることから、急ぎでない場合は機材の補修・メンテナンスをし本来の発電能力を取り戻してからの売却がおすすめです。土地は、自然災害のリスクが低い地域・出力抑制の起きにくい地域は人気です。設備は、太陽光パネルの汚れや破損はないか、オンライン対応かどうか、メーカー保証の残りなどをチェックします。周囲フェンスや清掃、草刈などの維持管理状態をチェックします。義務化されてはいないが、監視カメラや除草シートもプラス評価になります。最新パワコンに交換している方も、今後の交換リスクが下がるため査定額は高くなります。

将来利益よりも過去の売却実績が大きく評価に影響されるため、過去のメンテナンス記録や修繕履歴も査定の材料になります。査定額よりもスピード重視の方は買取会社に売却するのがいいでしょう。【いくつかの会社で比較しよう】現金化を急いでいる場合以外は、いくつかの会社で査定額を比較すると安心です。なかでも手数料の確認は必須です。手続きの代行費用・仲介の手数料として、法外な費用を請求する悪質な業者も存在します。即日買取・スピード現金化などの謳い文句には、特に注意しましょう。事前に費用や手数料を書面で提示してもらい、契約内容・決済条件を他社と十分に比較することで未然に防げます。【売却後にかかる税金の確認】太陽光発電所を売却して「売却利益」が発生した場合、確定申告が必要です。所得税の対象となりますが、他の事業収入と合算して相殺・維持管理の必要経費を差し引くなどの対応ができる場合があるため、税理士さんに相談しておくと安心でしょう。

また、個人間の取引でも給与所得と合わせた金額に対して累進課税されます。譲渡所得となり、売却益が多いほど納税額も多くなるため注意が必要です。申告漏れは追徴課税の対象となるため、忘れないようにしましょう。【太陽光発電事業の評価ガイド】2018年6月に太陽光発電協会(JPEA)が策定した評価ガイドがあります。設備の技術や安全性を評価できるようにチェック項目が公開されています。日頃のメンテナンスにも、将来的な売却を見据えている方にも、評価診断に役立つ内容になっているためこちらも合わせてチェックしてみてください。

まとめ

本記事では太陽光発電所売却の方法を解説するとともに、流れや手続きに必要な情報も紹介しました。さまざまな要因からセカンダリー市場に注目が集まっているため、売却を考えたり、将来的に売却を見据えている方もいるでしょう。気になる方は、まずは気軽に仲介会社や買取会社に査定依頼をするのがおすすめです。査定前のメンテナンスは忘れずに行っておきましょう。現在は考えていなくても、今後太陽光発電所のセカンダリー市場はますます活性化していくことが予想されます。メンテナンスを怠らず売電実績を上げておくことで、売却時に評価が高まります。